――「まだ大丈夫」が最も危険な理由
「そのまま上がれるから大丈夫」——その油断こそ最大の落とし穴。なぜ高2までの積み上げで決まるのかを、家庭教師の立場から率直にお話しします。
日本大学の付属高校に通われているご家庭から、こんなお声をよくいただきます。 「日大にはそのまま上がれるはずだから、まだ大丈夫」 ――この「まだ大丈夫」という感覚こそが、内部進学における最大の落とし穴です。
内部進学は「一発勝負」ではない
まず、大前提の確認です。日大付属高校からの内部進学は、基礎学力到達度テストの成績によって決まります。そして重要なのは、このテストが「高3の一発勝負」ではないということです。
- ▸高2で受験する回の成績
- ▸高3で受験する回の成績
これらが合算・換算されて選考に用いられます。つまり――高3になってから本気を出しても、すでに「配点の一部」は確定してしまっている。
一般入試であれば高3の一年間で挽回も可能でしょう。しかし内部進学では、高2の時点での成績が、そのまま最後まで重しとしてのしかかるのです。
「まだ大丈夫」が危険な、3つの理由
①「日大に上がれる」と「行きたい学部に行ける」は別問題
日本大学のどこかの学部に進学できることと、希望する学部に進学できることは、まったく別の話です。成績が振るわなければ、「日大には行けるが、行きたい学部には行けない」という結果になります。そして、これが本人にとって最も辛い結末なのです。
②周りも「付属生」であるという事実
内部進学の選考は、同じ日大付属生同士の競争です。一般入試のように全国の受験生と戦うわけではありません。裏を返せば、みんな同じように付属校で勉強している中で、相対的に上位に立たなければならないということです。「うちの子は真面目にやっているから」――その真面目さは、周囲も同じように持っています。
③危機感が生まれにくい構造
ここが最も深刻です。一般受験生であれば、模試の判定を見て否応なく危機感を持ちます。しかし付属生の場合――
- ▸「大学受験がない」という安心感
- ▸部活や学校行事が充実している
- ▸周囲もあまり緊張感がない
こうした環境の中で危機感が生まれないまま高2が終わってしまうのです。気づいたときには、挽回が難しい位置にいる。これが、何度も見てきた光景です。
人気学部は、想像以上に狭き門
日本大学は、学部によって内部進学の難易度が大きく異なります。
| 学部群 | 内部進学のハードル | 必要な意識 |
|---|---|---|
| 医・歯・獣医など | 極めて高い | 高1から最優先で対策 |
| 法・経済・商・理工など | 高い(人気学部) | 高2の成績が勝負 |
| その他の学部 | 相対的に緩やか | それでも油断は禁物 |
特に医・歯・獣医系を志望する場合、内部進学は一般入試に匹敵する厳しさと考えてください。「付属だから安泰」という発想は、この時点で完全に崩れます。
取り返しがつかなくなる瞬間
ご相談を受ける中で、最も多いのが「高3の春」です。
「このままだと、希望の学部に行けないと言われました」
「今からでも間に合いますか?」
正直に申し上げます。間に合う場合もありますが、高2の成績が悪ければ悪いほど、高3で求められる成績のハードルは跳ね上がります。そして、そのハードルが物理的に届かない水準になっているケースも、現実にあるのです。
そうなったときの選択肢は――
- ✕希望学部を諦める
- ✕一般入試に切り替える(ただし付属校のカリキュラムでは不利)
- ✕他大学を受験する(同上)
いずれも、本来なら選ばずに済んだはずの、苦しい選択です。
では、いつから動くべきか
答えは明確です。「まだ大丈夫」と思っている今、この瞬間からです。
- ▸高1 → 基礎固めの黄金期。ここでの貯金が、すべてを楽にします
- ▸高2 → 最重要。ここでの成績が、内部進学の土台を決めます
- ▸高3 → 仕上げと挽回の時期。ただし土台がなければ苦しい
内部進学は、「高3で頑張る」ものではありません。「高2までに、頑張れる状態を作っておく」ものです。
まとめ
- ▸内部進学は高2・高3の成績の積み上げで決まる
- ▸「日大に行ける」と「希望学部に行ける」は別問題
- ▸付属校は危機感が生まれにくい構造にある
- ▸人気学部・医歯獣医系は極めて狭き門
- ▸「まだ大丈夫」と思った時が、動くべき時
お子様が本当に行きたい学部があるのなら、その道を確実にするための準備を、今から始めてください。
※基礎学力到達度テストの実施時期・出題科目・配点、および内部進学の選考基準は、年度や在籍校により異なり、変更されることがあります。必ず在籍校および日本大学の最新の公表資料をご確認ください。本記事は指導経験に基づく一般的な見解です。